前回の 第2話 では ──
「ピアノ科」を諦めて、
普通科への道を選んだお話を書きました。
第3話の今回は、
▶国立音楽大学附属高校で過ごした、
高校3年間のお話です。
■ "楽園"のような、学園生活。
国立音楽大学附属高校 普通科に進学した私は、
そこで かけがえのないものを、
たくさん得ることになります。
当時の音高普通科は ──
「普通科」とはいっても、
一般的な高校とは まったく異なる、
音楽に満ちたカリキュラムでした。
ピアノ試験
試験
ソルフェージュ
校内では、
朝から夕方まで、どこにいても
楽器の音、歌声、レッスンの音が聞こえてきます。
▶制服はなく、自由な校風。
生徒たちは生き生きと、
のびのびと過ごしていました。
数人が大きな声で 歌いながら歩いている ──
そんな光景も、当たり前。
楽園(らくえん)のような
楽園(がくえん)。
■ 眩しかった、ピアノ科の生徒たち。
そんな中で ──
ピアノ科の生徒たちは、
私にとって 特別な存在でした。
とにかく眩しくて、
憧れで。
普通科を選んだことに 納得はしていたものの、
心のどこかに ずっと ──
「叶わなかった」
という、小さな想い。
きっと、ありました。
■ コーラス部 ── 初めての「チーム」。
高校では、
コーラス部に所属しました。
これが ──
▶今でも、大きな財産になっています。
詩を読み、
情景を 思い浮かべ、
感情を 乗せて歌う。
そして ──
1年生から3年生までが一つになって、
声を重ね、ひとつの作品を作り上げる。
それまで、
ピアノ一筋で、
中学では帰宅部だった私にとって ──
そして、初めての「アンサンブル」。 ── 一人で弾く音楽とは、まるで違う 喜び。
その楽しさといったら ──
本当に、忘れられません。
音と詩を 合わせて
音楽を 作る力 ── ↓ そして 今 実はこれが、
お教室で 生徒のみなさんに ピアノをお教えする上で、
大いに役立っています。
あの3年間は、
ちゃんと 今に つながっている。
■ それでも、ピアノには また 壁が。
もちろん、
ピアノも 変わらず好きでした。
自分なりに ──
- 曲を 分析する時間を作ったり
- 昼休みを削って 練習したり
できることは続けていた、
つもりでした。
しかし、
ここで また 壁にぶつかります。
思うように、
指が動かない。
どれだけ練習しているつもりでも、
思ったようなスピードや精度に、届かない。
今振り返ると ──
- 自分を 客観的に分析する力
- 諦めずに 積み重ねる鍛錬
そのどちらも、
まだ足りていなかったのだと思います。
■ 高校3年 ── 最後の、卒業試験。
試験でも、
思うような評価が 得られませんでした。
そして、高校3年生。
卒業試験の日が 来ました。
心の中で、
強く、強く、思っていました。
絶対に、
ピアノで卒業演奏会に出たい。
でも ── 結果は。
卒業演奏会 出演 決定。
■ ろうそくの火が、「ポッ」と消えた音。
その瞬間 ──
自分の中で、
▶ピアノへの情熱の ろうそくの火が、
「ポッ」と 消えた音がしました。
でも、当時の私は ──
確かに 何かを手放した感覚がありました。
■ ここまでが、第3話。
楽園のような日々のなかで、
何度も訪れた 挫折。
そして ──
一度 消えかけたピアノへの想い。
ここから私は、
どのようにピアノと向き合っていくのか ──
光の強い場所では、
影もまた、はっきり見える。